コラム

[PLAYER’S STORY] 寺沢 優太 Yuta Terasawa

J3昇格を目指し、奈良の地で戦う25人の選手たち。
「何故、サッカーなのか」「何故、奈良なのか」選手それぞれの“物語”に迫る。
(ホームゲーム週に更新予定)

#23 寺沢 優太

常に自分が一番成長できる場を選択。
昨年はチームを探し一人で練習をする日々も。
そんな寺沢が苦難を乗り越えた今、抱く夢とは。

数々の習い事から残ったサッカー

サッカーを始めたのは、小学校高学年のとき、学校で配られたプリントを見て、「あ、面白そうだな」と思ったのがきっかけです。当時、スイミングやバスケ、空手や塾など、色々な習い事をしていたんですよ。その中で最後まで残ったのがサッカーでした。あんまり覚えていないんですけど、サッカーの面白さや、チームスポーツが魅力だったんたど思います。

全国出場の上を見据えていた
中学校はサッカー部がないほど小さな学校で。でもサッカーは続けたくて、クラブチームに入りました。クラブチームではサッカーを中心に生活することを植え付けられましたね。クラブユースの大会で全国にいくことはありましたが、周りはどこもJクラブの育成組織ばかりでレベルの差を感じて。全国に行っても勝てなければ意味がない、ここで満足するのではなくもっと上のレベルを目指したい、と思いました。

自らに目を向け挫折を成功に
その気持ちから、高校サッカー選手権長野県予選で優勝していた東京都市大学塩尻高校に進学。高校1年の5月、入部してすぐにトップチームのインターハイ予選の長野県準決勝に出たんです。結果は0-5。自分がチームを崩してしまった実感がありましたし、何より先輩たちの夢を潰してしまった試合でした。本当に申し訳なく思っています。
それからは、オンザピッチ、オフザピッチ共にどうしたらより成長できるのかを考えていました。私生活の一場面を切り取っても、トレーニング一つに関しても。その結果、高校3年ではインターハイ、選手権、新人戦で三冠を果たせて、後輩たちに良い姿を見せられたのは良かったと思います。

サッカーが出来なかった大学時代

ㅤ大学はスポーツ推薦で工学部に入学しました。何も知らずに学部を決めてしまったことが今でも後悔です。関東学院大学サッカー部は朝練習なのですが、工学部は週に4回1限があって、ほとんど部活には出れなかったんです。毎日自主練習、そして度重なる大怪我。サッカーをするために大学を選んだのにも関わらず思うようにサッカーができなくて悔しさが残る大学生活となりました。

GKに求められるものはプレーと指示力
ㅤでも将来サッカーで生計を立てたい気持ちは変わらなくて。大学でサッカーが出来なかった分、サッカーに集中できる環境に飛び込みたいと思って海外サッカーへの道を選びました。国は迷わずGK大国のドイツの一択でした。
ㅤGKは他のポジションよりも言葉で指示をすることが求められるので、話せないと相手にされない、会話をしてもらえません。言語の壁を乗り越えるために、大学の教授にカリキュラムとは別にドイツ語を教えてもらっていました。でも現地に行ったらスピードや発音が全然違っていて。練習時間以外は現地の人に言語を教えてもらう毎日でした。

常に前へ、続けること
ㅤドイツでの3年半は学ぶことばかりでした。GKとしての服の着こなし方や姿勢から指導されて。ドイツのGKってほとんどが身長190cm以上なんですよ。その中でどうやって戦っていくかが問われました。ドイツ語で好きな言葉があります。「インマーバイター」という言葉なのですが、“常に前へ、続けること”という意味です。ドイツでの3年半はサッカーに打ち込む毎日であり、GKとしての文化だけでなくヨーロッパのサッカーの文化にも触れ合う日々でした。

 

7月24日掲載分

チームを探し、光を待つ日々

ㅤ帰国した理由は、ドイツで学んだGKの文化を体現したかったんです。6月にドイツでの契約を終えて、ヨーロッパの移籍期間である8月までは向こうで自分の語学力を活かしチームを探していました。でもなかなかうまく話が進まなくて。
ㅤ9月に帰国してからは資料やビデオを作ってチームに送りながら練習参加をする毎日でした。チームが決まらなくて6月から半年以上、練習場もなければ練習相手もいない日々で。先が全く見えなくて、とにかく明日良い報告が来るのを待つのみでした。この時期が一番きつかったですね。

広い視野でチームのことを考える
ㅤ奈良クラブに来てみて、新しい取り組みをしている最中なので、選手としても人間としても成長できるクラブだと感じています。今はメンバーに入れていないですが、一回一回の練習、一日一日を大切にサッカーと向き合っていきたいと思います。どうやったらチームに貢献できるのか、客観的にチームを見て行動していきたいと思います。

信州から来たALSOK
ㅤ地元が長野なので信州は必ず入れたかったんです。ALSOKって緊急事態に助ける、とか安全というイメージがありますよね。そのイメージがGKとリンクしたので選びました。“寺沢優太”というGKとしても人間としても両方を知ってほしいと思っています。 信頼されて、尊敬されるGK、そして周りから愛される人になりたいと思っています。そのためにもっと自分の帯を締めていきたいと思います。