コラム

[PLAYER’S STORY] 菅野 哲也 Tetsuya Kanno

J3昇格を目指し、奈良の地で戦う26人の選手たち。
「何故、サッカーなのか」「何故、奈良なのか」選手それぞれの“物語”に迫る。
(ホームゲーム週に2人ずつ更新予定)

#7 菅野 哲也

幼い頃にサッカーができるありがたみを実感
挫折から得た武器 “ドリブル”
大きな決断を下した中学3年時————

親が用意してくれたサッカーの環境

ㅤサッカーは幼稚園の頃から始めて、地域のサッカースクールに入っていました。せっかく楽しくサッカーをしていたんですけど、小学校1年から3年までは部活がなくてサッカーをする環境がなかったんです。サッカーがやりたいのにできない環境にいる自分を見て、親がサッカーチームを作ってくれたんです。

ㅤ当時は無知だったので、深く考えていなかったんですけど、今思うとすごいことをしてくれていたんだなと思います。最初は親の仕事が休みの日だけで、中学生が来たりとか、近所の人たちとサッカーをしているって感じだったんですけど、僕からすると、相手の体が大きかった分、良い経験になりましたね。だって小学校2年生と中学校2年生とかですよ(笑)。ちなみにそのチームは20年以上経った今でもチームとしては残っています。

呼ばれて入団したが早々に挫折
ㅤ中学は柏レイソルのジュニアユースだったんですけど、今思うと辛かった時期の一つに中学一年生が浮かびます。入団してすぐにオスグットになってしまったんですよ。片足三ヶ月ずつで計半年間サッカーができませんでした。それまでそんなに怪我をしたことがなかったので、こんなにも長くサッカーから離れるのは初めての経験でした。

ㅤいざ復帰をしてみたら、自分のプレーが出来なくなっていて。それも相当ショックでしたね。自分のプレーは出来ないし、Bチームや下の学年とプレーしている毎日。親からも「辞めて部活でも良いよ」と言われるくらいでした。でも僕は辞めたくなかったので、もう一度原点に戻ろうと思ったんです。

進撃のドリブラー誕生秘話
ㅤ怪我をする前の自分と復帰をした時の自分を比べてみたら、前は足が速かったのに今は遅くなってしまったり、ドリブルが得意だったけど、出来なくなっていたりすることに気が付きました。それからはスピードを取り戻すために、家でも走る練習をしていました。

ㅤ自分の良さを取り戻すことができて、監督にも認めてもらえるようになって。ようやく試合に出れるようになった時は嬉しかったですね。挫折を経験したけれど、もう一度原点に立ち返ったことによって、プレースタイルや進むべき道を確信して、ここだったら負けないという武器を手に入れました。これが今の僕の強みでもある、ボールを持った時のドリブル突破力や、ゴール前で仕掛けを作れるようになったきっかけです。

ㅤ中学1年生の1年間まともにサッカーができなかった自分が、中学3年の時にはユースに上がれるという話をいただけるまで来れたことは自信になりましたね。

しかしユースという選択をしなかった菅野

ㅤ大半の選手はそこでユースに進むのでしょうが、僕はそこでその話を断ったんです。それもユースにあがるための面談の日に。その理由は、高校サッカーの選手権を経験したかったってこともありますが、自分がプロになるためにはどの道が一番近いのかって考えた時に、このままユースにあがってもなかなか厳しいかもしれないと感じていたので、環境を変えようと思ったからです。今思うと次のチームが決まっていないのに、ユースからの誘いを断るってすごい決断だなと自分でも思います(笑)。柏レイソルユースか、成立学園か。どっちの選択肢が正しかったのかは今でも分かりませんが、結果的には高卒でプロになることができましたし、成立学園高校という良い環境と指導者の元でサッカーが出来たので間違ってはいなかったと思っています。

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4月13日(土)掲載分

二度と同じ瞬間はないサッカーだから楽しい

ㅤ海外留学を除くと、湘南、金沢、相模原、長野、そして奈良クラブなので5チーム目になります。若い頃は何歳くらいまでサッカーが出来れば十分かな、って思っていたんですけど、今では出来るだけ長くサッカーをやることが僕の夢です。この年になって改めて、サッカーが楽しいと感じることが多くなって。練習してきたことを試合で体現できて、それで点が入って勝ったら、めちゃくちゃ嬉しいですし、喜びも倍以上になります。個人で取った点よりも、チームでやろうとしたことが出来て点を取れた時の方が何倍も嬉しいですね。

サッカーを長く続けてこの嬉しさを味わう環境は自分で作れると思っています。サッカーに怪我はつきものなので、出来るだけ怪我をしないように自分の体をコントロールするようにしています。
息子に見せたい姿

ㅤ僕にはまだ幼い息子がいるのですが、息子が大きくなって物心つくまでサッカーを続けることが目標です。お父さんってサッカー選手なんだ、って知ってもらいもらいたいんですよね。奥さんと息子のために今シーズンも戦います。フルシーズンを戦い抜けるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。