コラム

やべさんぽ (OBセカンドキャリア編)「橋垣戸光一(2008~2017)」

スタジアムの熱狂はもちろん、奈良クラブサポーターにもアウェイサポーターにももっと奈良を楽しんでもらいたい!スタジアムへの道中や日常でちょっと寄り道したくなる街のお店を紹介する新企画「やべさんぽ」。誰よりも奈良を知り、奈良を愛する〝ミスター・奈良クラブ″「やべっち」こと矢部次郎がレポートいたします!今回は趣向を変えて、これまで奈良クラブを創り上げてくれた奈良の戦士たちのセカンドキャリアに迫ります。

 

橋垣戸光一(2008〜2017)
カテゴリー:OBセカンドキャリア編
勤務先:株式会社丸産業

アスリートに訪れる「引退」、そして「セカンドキャリア」。小さなころから高みを目指し続け、プレーすることこそが生きるモチベーションであったプレーヤーが、セカンドキャリアにどう向かい合い、今を生きているか。その真実に触れる第1弾には創成期から奈良クラブを支え続け、サポーターに愛された「ガイト」こと橋垣戸光一さんをピックアップし、お話を伺いました。
   

現役と変わらないコミュニケーション術
奈良クラブのこれまでの昇格に関わる全てのシーンに選手として立ち会った唯一の選手がガイト。チームを熱く鼓舞し(時に熱くなりすぎるけど(笑))、体を張ってゴールを守るディフェンスリーダーがセカンドキャリアをどう歩んでいるのか、まずは直属の上司である株式会社丸産業奈良営業所濱田所長にインタビューをしました。

奈良営業所濱田所長
「仕事は熱心。体育会ならではのノリの良さから部署も賑やかですよ。長い選手生活を引退後に入社してきた分、彼には年下の上司がいるのですが、彼ともイジりイジられの名コンビで、彼らの複雑な関係を笑いに変えるノリツッコミのパターンがあるほどです(笑)。周りの社員とも仲は良いですね。仕事面ではうっかりミスもたまにはありますが、それを周りの社員が補ってくれる人間関係を築けていると思います。先日は試合で顔面骨折した橋垣戸を後輩たちがフォローしていましたよ。『やらなあかん』という使命感を感じますし、芯を持った営業で頑張ってくれています。良い人材が入社してくれたと思っていますよ。これからも期待しているのでがんばってほしいですね」

おいおい、絶賛されてるやんけ!まあ、所長のリップサービスかと思い、他の社員の方にも伺いましたが、みんな同じような言葉が出てくるのでますますびっくり。ガイト、しっかりビジネスパーソンしています。
 

 

仕事とサッカーの共通点
ガイトにも話を伺いました。

「引退し、丸産業に就職させていただくことになり、最初は不安もありましたけど、これまでどこでも人間関係はうまく築けていたので、ここでもすぐに順応できました。このコミュニケーション能力はサッカーで培ったものと言えますね。業務は営業。販売店さん、工務店さんに訪問し、見積もりや商材提案をしています。奈良を中心に関西圏はどこでも行きますね。始業時間が8:30なのですが、1時間前には会社に着いて仕事の準備をしています。これもサッカー選手の頃からの習慣かもしれません。仕事に関して褒めていただく機会もありますが、周りの人たちが助けてくれているおかげであって、自分ではあまり自覚はありません。そんなことより業務に没頭して一日があっという間に終わる感じです。営業は出会いが多く、人とのつながりができるが嬉しいですね。サッカーの話題で盛り上がることもありますよ」

部署の雰囲気を見て感じたことは、ガイトの周りの空気が奈良クラブの頃と一緒だということ。みんなガイトにちょっかいを出したりいじったり。どのシーズンでも、どんなメンバーでもいつも結局そうなっていたもんな。
 

奈良クラブソシオス
今だ現役としてプレーする奈良クラブソシオス(奈良県1部リーグ)についても聞きました。

「トップレベルを目指すサッカーは引退しましたが、プレーを続けない選択肢はありませんでした。いろんなお誘いがありましたが、奈良クラブが好きだからソシオスでプレーすることに決めました。ソシオスでは週2回の練習に参加しています。飲み会が圧倒的に増えたのでコンディションを維持するのは大変ですが(笑)。実はもう少しソフトにプレーするつもりだったんですが、若い連中が挑んでくるとやっぱり真剣になってしまう自分がいますね。ソシオスは若い選手が多いし、浮ついた雰囲気になったら石原(奈良クラブ2009~2010)と一緒に締めています。ソシオスの選手たちには少しでも上の景色を見せてあげたいと思っています。県リーグから関西リーグを目指す、なんだか昔の奈良クラブを見ているみたいですよ。新たにソシオスに加入して再会した染田(奈良クラブ2014)やかつてのチームメイトとプレーするのも楽しみのひとつです。27日はトップチームは丸産業のマッチデーですが、僕は全国クラブチーム選手権に参加しますので、トップチームもソシオスも両方勝利できるように僕は福井で頑張ります」

ソシオスファンの皆様、ガイトは福井参戦です!

今の選手たちにアドバイスするなら

長くキャリアを歩んできたガイトに現役選手やサッカー少年たちに今だから言えることを聞きました。

「サッカーの試合もそうですが、人はやっぱり一人で生きることはできないということです。奈良クラブもたくさんの支えがあって成り立っています。人を助け、人に助けられる、サポートやフォローはサッカーの戦術と一緒です。だからこそ人間関係を大切にしてほしい。チームメイトはもちろん、サポーターやスポンサー、こどもたちへの接し方ひとつで自分を取り巻く環境は変わります。現役時代は周りが見えにくいけど、日々の振る舞いを意識してほしい。人は見ていますからね。評価は自分がする訳ではないので」
 

こどもたちへもメッセージをもらいました。

「私は小学3年生からサッカーを始めて今でも続けています。サッカーはいくつになっても楽しいものです。だからこそチームメイト、仲間を大切にしてほしい。サッカーでつながった仲間はかけがえのないもので、私の友人のほとんどはサッカーでつながったと言っても過言ではありません。上達のアドバイスをするなら、『身近にライバルを作る』というのが私のやりかたでした。僕より上手い選手を勝手にライバル視して、追いつけ追い越せと努力するのです。負けず嫌いの私はこうやって少しずつレベルアップしたと思います。負けず嫌いの自分の性格に合った方法ですね。ちなみに今でも負けるのは大嫌いです(笑)」

これからの想いを語っていただきました。
「生涯プレーを続けていきたいと思っています。そのためにも毎日の仕事を一生懸命に全うしていきます。仕事もサッカーも両立させ、奈良クラブと共に人生を歩んでいきたいと思っています」

あとがき
改めてガイトの思いを聞けて嬉しく思いました。ガイトとは付き合いも長い分、ぶつかったこともあるし、喜びも分かち合ってきました。その中でサッカー、そして奈良クラブへの素直な深い愛情を感じました。「サッカー人」ガイトがサッカーで培った能力を活かし、セカンドキャリアで会社に認められながら、人生を歩んでいる姿は奈良クラブの象徴とも言えます。これからもガイトを応援していきたいと思います。

 

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