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街を知るワークショップ レポート

市町村民デーを機会として、その市町村のことについて改めて自分たちが深く理解し、またそれをみなさまに知ってもらうための「街を知るワークショップ」を奈良クラブのフロントスタッフ全員で実施しました。

11/14(土)に行われる生駒市民デーに先駆けて、生駒市広報広聴課長の大垣弥生さんをお迎えして【「脱ベッドタウン」後の生駒市】について考えました。

【「脱ベッドタウン」後の生駒市を考える】ワークショップ

今回は、奈良クラブから生駒市について考えるためのワークショップを実施したいと依頼し、打ち合わせを重ねる中で、生駒市の掲げる「ベッドタウンからの脱却」についてのお話を聞きました。多くの自治体が移住や転入促進をしている中で、ベッドタウン化して成長した生駒市が、その方向性を見直そうとしている点が興味深かったため、【「脱ベッドタウン」後の生駒】をテーマにワークショップを実施しました。

奈良クラブのフロントスタッフが、生駒市について理解を深めるだけでなく、生駒市役所の方が日々直面する課題について考えることで、大垣さんにも明日からのまちづくりに活かすことができるヒントを持って帰ってもらえるよう、ワークショップを組みたてました。

 
 

ワーク1 生駒市について

大垣さんから生駒についての基礎データを聞いたあと、生駒市について連想するキーワードを一人10個あげました。

大阪との県境「生駒山」が最も多かった。食べ物は、レインボーラムネや、高山製菓さんのかきもちが多く想起された。もちろん、生駒が誇るストライカー島田選手も!

> 大垣さん
すごい!たくさんある!茶せんのイメージも多いし、生駒のお店をご存じのかたもいらっしゃるんですね。

次に、「生駒市に住む人」のペルソナを考えるワークを行い、性別・年代に分けて「インサイト」「家族構成」「職業」「収入」「性格」「ライフワーク」について考えてみました。

M1(男性20-34歳)以外は全員結婚して家族あり、どの層も概ね安定志向の性格で、休日は程よく息抜きするライフスタイル、生駒の住みやすさを評価するという予想が多かった。

> 大垣さん
生駒市は大阪難波まで電車で約20分の場所に位置する人口12万人のまちです。県外就業率が全国2位、治安の良さは人口10万人以上のまちでは関西1位、そして小中学生の学力は全国トップレベルです。そして、先ほどの皆さんのイメージ通り、いわゆるベッドタウン(住環境に特化した街、同質・同年代の住民が集まっている)として発展してきました。

高齢化に伴い急激に人口構造が変化していくこと、女性就業率や出生率が低いことも課題の一つです。新しい住宅地が開発されると、同時期に同年代のかたが一斉に入居されるので、30年~40年たつと高齢化が急速に進展します。

そんな中で、持続可能なまちにしていくために、私たち行政も商工業や住宅政策やコミュニティ形成を考えています。プロモーションにおいては、「まちの方々といっしょに生駒暮らしの魅力を伝える方法」を考え、市民PRチーム「いこまち宣伝部」を運営したり、まちの雰囲気を体験してもらったりするための講座やイベントを実施しています。
平成31年3月に「第6次生駒市総合計画」を策定し、これからは多様な生き方や暮らしをかなえるまちを目指していくという方針を打ち出しました」

 
 

ワーク2 脱ベッドタウン後の生駒を考える

生駒市の掲げた未来が実現した場合、まちがどのような姿になっているのか2つの視点から考えました。

・ 生駒市のビジョンが叶ったらどんなまちになる?
・ そこに住む人のライフスタイルはどう変化する?

フロントスタッフ
「IKOMA ROCK FES(音楽フェスイベント)はできてほしいかな」
「リモートワークが増えているから、一軒家のリノベーションでコワーキングスペースができる!」
「美味しいご飯を食べたい、食べさせたい人は必ずいるからご飯屋さん、飲み屋ができる!」
「通勤時間が減って余暇時間ができるから家庭菜園のクオリティがめっちゃ上がる!」
「生駒山上遊園地が盛り上がる!」…

> 大垣さん
働き方が多様になることで生まれる時間の活用がポイントになりそうですね。
生駒にはまさに皆さんが描く暮らしを体現している人たちがいらっしゃいます。そんな方々を紹介するプロモーションサイト「good cycle ikoma」をつくったり、市役所各課と連携して多様な暮らし方を応援する「スタイリングウィーク」を実施したりして、魅力やつながりを生まれるまちを目指しています。

 
 

ワーク3 具体的に行動するために

行政も多くの事業を通じて、地域と関わってもらう場や機会をつくっていますが、まちづくりに関わっていただきたい方はまだまだ多いはず。
そこで最後のワークは、「生駒に移住して何かするなら」です。

ここまで、人やモノや場所、そして未来と過去についてあらゆる方向性から生駒市について考えました。これらを踏まえて、グループごとに、生駒市民の方と協働で実施する事業を企画し、助成金を申請するという想定でアイデアをプレゼンしました。

フロントスタッフ
「生駒に住んでいる人をどうやって巻き込み、参加してもらうかが重要ですね。」
「さっき考えた性年代別のペルソナに当てはめて考えてみるとスムーズかも」
「M2.3層は安定した生活と収入もあるので、こういう人たちが前向きに取り組めることってなんですかね?」
「出生率の低さも無視できないから、女性に住んでもらうための取り組みも意義が大きいかも」…

意見がまとまったグループから順に発表しました。

 
 

ワーク4 発表

グループA

生駒に住む人が輝くためには、まずやりがいのある仕事を生み出す必要があると考え、企業家を誘致するコワーキングスペースを作ろうと考えました。
さらに、定期的に人が集まる場所を作れば衣食住の需要も生まれるはずなので、1F部分はテナントスペースにして、小ランドマークを目指します。
人が足を運びたくなる魅力的な場所にするための重要な要素として、建物のデザインに拘ります。ただ、新築で立てずとも空いているビルを活用してリノベーションすることで、そこに仕事も生まれますし、費用も抑えることができます。見積もりは粗々ですがざっと7000万円ほどいただけると…嬉しいです!

> 大垣さんコメント

こんな場所ができたらわくわくしますね。魅力的な方々を中心として、雇用や交流を生み出すことができたら素晴らしいですね。

 

グループB

生駒には、大手企業で十分な収入を得て、規則正しく働くM3層(親しみを込めておっさんと呼ばせてもらいます)の方が多いと思います。そんな人の中には、順調すぎるキャリアに少し刺激を求めていたり、新たな繋がりを求めている人もいると思います。そういう人たちが一肌脱げる場所として、「生駒おっさんパーク」を作りたいと思います。まず、そういうおっさん達が散歩をしたり、立ち飲みをしたりしたくなる場所を作ります。さらに、これから生駒で何かしたい若者を呼び込んで、人生の先輩であるおっさん達に相談をしたり、場合によっては一緒にビジネスが始まる場所を目指しマッチングをする企画を多数用意します。

志のある若者と経験があるおっさんがマッチングすることで、若者は目的達成の確率を上げ、おっさんは自らの経験を活かして新たに熱中できることが見つかり、ひいてはそれが生駒市を盛り上げることにつながります。
予算は場所作りに初期投資が必要なので、このような感じになります。グループAの半額です!笑

> 大垣さんコメント
男性のロマンあふれる場所ですね。私には少し敷居が高い場所になりそうですが、きっと実現したら盛り上がると思います。

 

グループC

はばたきハウスは女性が輝ける場所を作ることを念頭において企画しました。
女性の就業率が低いという課題は無視できない一方、お子さんを安心して預ける先がないことも問題としてあるので、その両方を解決できる方法を考えました。
それがバリバリ働きたい人と、子供と触れ合いたい人をマッチングし、もっと言うなら近くに住んでもらってお互い安心して支え合ってもらおうというはばたきハウスです。
入居スペースは既存の空き家(あるという仮定)をリノベーションして女性が入居したくなるようなものにします。
託児所は、はばたきホールの一部を改修して作れると、ホールの稼働率も上がるので良いのではないかと考えました。
1年間は、家賃を無料にして仕組みを軌道に乗せたいと思います。

> 大垣さんコメント
子育てしながら働ける仕組みづくりは必要ですよね。子育て世代と子育てを終えた世代をマッチングさせる方法も素晴らしいですね。

> 大垣さん総括

どのグループも課題を踏まえたうえで、ユニークなアイデアを提案してくださりありがとうございました。まちのことを考えて、行動にうつしてもらう方を一人でも増やしていくことが私たちの使命だと改めて思いました。

 
 

まとめ

地方のあらゆる自治体が「住む街(≒ベッドタウン)」として移住を呼びかける中、先駆けてそれに成功し、ベッドタウンの見本のような街を作り上げた生駒市がさらにその先を見据えて現行のトレンドの真逆をいく「脱ベッドタウン」を呼びかけている事実に意外性を感じました。現在ベッドタウンとして移住を呼びかけている自治体の多くは次の課題として、「ベッドタウン化の後の人口減」に直面した時、現在生駒市が取り組む「脱ベッドタウン」に対する取り組みは、多くの自治体に先駆けてモデルケースを作る取り組みと言えます。

何よりも大切なのは、大垣さんが冒頭で触れられていた通り、そこに住む人(市民)と自治体が共に汗をかくことです。「自分らしく輝けるステージ」を作っていくためにどのようなことができるか/どのようなことをしたいかをそこに住む人たちが考え、行動することの大切さを実感することができました。

大垣さん、お忙しい中ワークショップの実施に多大なるご尽力をいただき、本当にありがとうございました!

 
 

登壇者プロフィール

大垣弥生(おおがきやよい)
生駒市市長公室広報広聴課長
民間企業の販売推進部門を経て、奈良県生駒市に入庁。市民PRチーム「いこまち宣伝部」、森の中のマルシェ、「IKOMA SUN FESTA」多様な生き方を応援する「スタイリングウィーク」等を通じてまちの魅力発信とイメージの向上につとめると共に、人が出会い、緩やかにつながる場をつくり続ける。

2020シーズン生駒市民デー

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